環境認証を取得するにあたって先ずは、どの認証機関の認証を受けるかを決めなければなりません。
代表的なのが、「ISO14001」と「エコアクション21」になります。

今回は、ISO14001とエコアクション21の違いを規格概要、取得メリットや費用面など、さまざまな点から徹底比較していきます。

ISO14001とエコアクション21の規格概要

こちらはISO14001とエコアクション21の規格概要の比較一覧表になります。

ISO14001とエコアクション21の規格概要の比較
項目ISO14001エコアクション21
スタート1996年1996年
規格の策定国際標準化機構(ISO)
(国際規格)
環境省
(国のガイドライン)
認定機関国際標準化機構(ISO)
日本適合性認定協会(JAB)
一般財団法人持続性推進機構
エコアクション21中央事務局
審査機関地域事務局各審査機関
登録事業者数約15,000(2023年12現在)約7,500(2024年7月現在)
登録の有効期限3年間
登録後、1年ごとに定期審査、3年後に更新審査
2年間
登録1年後に中間審査、2年以内に更新審査
システム国際規格(要求事項17項目)に基づき構築
様式・基準は独自に定める必要があり、
体制や文書管理など厳しいシステム構築が要求されている
ガイドライン(要求事項14項目)に基づき構築
様式・基準が定められている
現状把握方法具体的に記載されていない
環境側面調査と環境影響評価により各自でさだめる
明確に定められている。
環境負荷、環境取組みのチェックシートにって測定
マニュアル作成文書化が要求されている要求事項以外の文書化は推奨事項となっている
内部監査内部監査は要求事項従業員100人以上限定で要求事項
審査審査員の助言・指導が不可審査員の助言・指導が可能
見直し(Action)マネジメントレビュー取組状況の確認並びに問題の是正と予防
活動結果の公表公表については自己決定環境活動レポートの作成・公表が義務
審査・登録費用高い低い
認証取得までの期間(目安)10ヶ月〜1年以上6〜12ヶ月

規格の違い

ISO14001とエコアクション21は、企業の環境マネジメントシステムとして広く利用されている認証規格です。
ISO14001は国際規格として、環境マネジメントシステム(EMS)の枠組みを提供し、企業の環境経営をサポートします。
国際規格となるため、取得することで国際的な取引先からの評価も高まります。
一方、エコアクション21は、日本独自の環境マネジメントシステムであり、中小企業に特化したガイドラインを提供しています。
自社と結びつきの強い地域の企業をはじめ国内企業との取引において有効性があります。

登録者数は、ISO14001の方が、エコアクション21に比べ、約2倍の事業者数になります。
その分認知度もISO14001の方が高いでしょう。

登録後は、ISO14001が3年更新で、1年毎に定期審査、3年目に更新審査のサイクルに対し、
エコアクション21は2年更新で、1年毎に中間審査、2年目に更新審査のサイクルになります。

国際的にはもちろん、国内においても
認知度はISO14001の方が高いですね。

審査の違い

審査の大きな違いは、
ISO14001は、審査時に助言・指導ができないのに対し、
エコアクション21は審査時に、審査員の助言・指導ができる形になります。

また、内部監査は
ISO14001は従業員数に関係なく要求事項になっているのに対し、
エコアクション21は100人以上の従業員を対象に要求事項になっています。

環境側面調査・環境負荷測定に関しては、
ISO14001は各自で定めなけばなりませんが、
エコアクション21はチェックシートが用意されてあります。

全般的に認証取得においては、エコアクション21の方が取り組みやすい内容となっています。

費用の違い

認証取得に関しては、
エコアクション21の方は圧倒的に低い費用で取得できます。
従業員規模によって変わってきますが、一般的には、20〜30万に費用が想定されます。
こちらの記事に詳細料金を紹介しております。

対してISO14001に関しては、
従業員数、規模、適用範囲によって変わってきますが、50〜120万の費用が想定されます。

この他、審査員の交通費、宿泊費(宿泊が伴う場合)、維持費(定期審査費)などがかかります。
また、専門家に支援依頼する場合は、別途コンサルティング費用がかかります。

費用を低く抑えたいのであれば、断然エコアクション21になります。

ISO14001とエコアクション21の要求事項比較

こちらはISO14001とエコアクション21の要求事項の比較一覧表になります。

ISO14001とエコアクション21の規格概要の比較
項目ISO14001エコアクション21
計画の策定
4 組織の状況1.取組の対象組織・活動の明確化
5.1 リーダーシップ及びコミットメント2.代表者による経営における課題とチャンスの明確化
5.2 環境方針3.環境経営方針の策定
9.1 監視,測定,分析及び評価4. 環境への負荷と環境への取組状況の把握及び評価
4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 5. 環境関連法規などの取りまとめ
6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定6. 環境経営目標及び環境経営計画の策定
計画の実施
DO
4.4 環境マネジメントシステム 7. 実施体制の構築
7.2 力量8. 教育・訓練の実施
7.4 コミュニケーション9. 環境コミュニケーションの実施
8.1 運用の計画及び管理 10.実施及び運用
8.2 緊急事態への準備及び対応11.環境上の緊急事態への準備及び対応
7.5 文書化した情報12.文書類の作成・管理
取組状況の確認及び評価
CHECK
10.2 不適合及び是正処置13.取組状況の確認・評価,並びに問題の是正及び予防
全体の評価と見直し
ACT
9.3 マネジメントレビュー14.代表者による全体の評価と見直し・指示

エコアクション21とISO14001を比べると、基本的なPDCA サイクルと各要求事項は同じですが、
エコアクション21は中小事業者に取り組みやすいように配慮されているのが特徴です。

ISO14001 では環境影響評価の方法は規定されておらず、自社で頭を悩ますところですが、
エコアクション21では、「環境負荷の自己チェックシート」が用意されており、
エネルギー使用量・ニ酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量、化学物質使用量などを把握できるようになっています。
また、取り組みの必須項目については、ISO14001 では自社で適切な評価に基づいて決めることになりますが、
エコアクション21ではあらかじめ決められています。

その他、エコアクション21では審査時に審査人が指導・助言を行うことができることも大きな特徴です。

まとめ〜どちらを選択するか〜

ここまで比較検討してみて、結局どちらを選択したらいいのか決まりましたでしょうか?
もしまだお悩みでしたら、貴社の認証取得する目的、事業内容、事業規模、費用面などで判断されるのがいいでしょう。

エコアクション21であれば、
自治体による入札参加資格・加点、金融機関等による融資の優遇、優良産廃処理業者認定の取得などの目的から
取得されるケースがあります。

事業内容・規模で、海外での取引が多い場合には、ISO14001の方が国際的認知度がある為、優位になります。

また、全くの一から始めるのであれば、比較的取り組みやすく、費用も抑えられる
エコアクション21の認証取得から初めて、次のステップでISO14001の認証取得を目指すという方法もあります。

もし、決めかねるようであれば専門家である当事務所に一度ご相談ください。
貴社の目的、状況に沿った形でご提案させて頂きます。

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