ここでは、「マネジメントレビュー」について、詳しく解説していきます。
先ずは、要求事項を確認してみましょう。

マネジメントレビューとは?要求事項を確認しよう。

9.3 マネジメントレビュー

トップマネジメントは、組織の環境マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効であることを確実にするために、
あらかじめ定めた間隔で、環境マネジメントシステムをレビューしなければならない。 

マネジメントレビューは、次の事項を考慮しなければならない。 

a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況 

b) 次の事項の変化 
1) 環境マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題 
2) 順守義務を含む,利害関係者のニーズ及び期待
3) 著しい環境側面 
4) リスク及び機会 

c) 環境目標が達成された程度 

d) 次に示す傾向を含めた,組織の環境パフォーマンスに関する情報 
1) 不適合及び是正処置 
2) 監視及び測定の結果 
3) 順守義務を満たすこと 
4) 監査結果 

e) 資源の妥当性 

f) 苦情を含む,利害関係者からの関連するコミュニケーション 

g) 継続的改善の機会 

マネジメントレビューからのアウトプットには,次の事項を含めなければならない。 
− 環境マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効であることに関する結論 
− 継続的改善の機会に関する決定 
− 資源を含む,環境マネジメントシステムの変更の必要性に関する決定 
− 必要な場合には,環境目標が達成されていない場合の処置 
− 必要な場合には,他の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合を改善するための機会 
− 組織の戦略的な方向性に関する示唆 

組織は、マネジメントレビューの結果の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

マネジメントレビューとは、
企業が行ってきた活動やマネジメントを振り返り、現状の課題の整理や問題点を考察し、
体制やシステムの見直しをしていくという経営管理活動のことです。

マネジメントレビューの目的は、企業のマネジメントシステムを継続的により良いものに改善していくことです。
改善のための施策を推進する際に、
施策の適切性・妥当性・有効性を判断するためにマネジメントレビューは重要な役割を果たしています。

このことをISO14001に当てはめてみると、

環境マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性を保つために、
計画的にトップは環境マネジメントシステムをレビューしなければならない

ということになります。

マネジメントレビューを効果的に行うためには?

「環境マネジメントシステムが継続して適切、妥当、有効であるようにする」

そのことから、マネジメントレビューは、
様々なデータや情報に基づき(インプット)、現在の環境マネジメントシステムが組織にとって適切及び妥当か、ということを判断し、
必要な変更や改善を決定する(アウトプット)ことを意図しています。
その意味で、マネジメントレビューは環境マネジメントシステムの有効な運用と改善にとって非常に重要な役割を担っています。

だからこそ、マネジメントレビューがISOのための形式的な活動になってしまっては良くありません。
ここで注意すべきなのは、「マネジメントレビュー」という形式的な会議等の活動を行うことではなく、
経営トップに環境マネジメントシステムの状況に関して必要な事項が報告され、
それに基づいて経営トップが適切な意思決定を行う「プロセス」を実行することです。

経営トップが様々な情報を元に意思決定するプロセスは、ほとんどの組織で既に行われていると思います。
従って、ここではそのような既にある仕組み(様々な会議体や報告・指示体系)を最大限に活用することが、
マネジメントレビューを形骸化させず有効に行うための鍵となります。
その上で、そのような既にある仕組みが、規格の要求事項に照らして必要な事項をカバーしているかを検討し、必要な改善を行えば良いでしょう。

マネジメントレビューはどのくらいの頻度で行うべきか?

マネジメントレビューをどのような頻度で行うかも、それを有効に行うための重要な要素です。
要求事項では「計画された間隔で」マネジメントレビューを実施することを要求しているのみで、
その頻度を具体的に規定していないため、それは組織が決定することになります。

例えば、監視及び測定の結果や不適合の状況、目標の達成状況等は毎月監視したいと考えるトップもいると思います。
監査結果は監査を行う頻度によってレビューの頻度は変わります。
多くの組織では年1回や2回、ということが多いです。
特に、中間・更新審査の前に内部監査を実施し、マネジメントレビューをするというのは、有効な手段になります。

重要なことは、それぞれの項目に適切な頻度があり、それがインプットされるタイミングが遅すぎて
経営トップが適切な意思決定を行うことができないということがないようにしなければならないということです。  
従って、年1回、決まりきった報告を受けて、「決定・指示事項は特にない」ことを記録して終わっているケースが見られますが、
そのような組織はそれが自分たちにとって適切な頻度であるかを再検討しても良いでしょう。

なお、マネジメントレビューの結果は文書化した情報(記録)として保持しなければなりません。このような記録は「文書化した情報の管理」の要求事項に従って管理する必要がありますので、注意しましょう。